平均寿命は過去最高になった。その一方で長寿を望まない老人は多くいる。むしろ長寿を望む老人のほうが少ないくらいだ。この数字は日本の衛生面、医療や福祉がそれなりに整っている証であるが、一方で寿命をもてあます結果とも言えるかもしれない。
先日、おだやかな口調で辛口なことを言うお年寄りの治療をした。そのときに言っていたのが考えてもどうにもならないことについて悩むのを止め余生をおだやかに過ごしている人ならではの言葉だが、その一方で別のお年寄りは「辛いつらいと言ってもどうにもならないけれど、つい口に出てしまうんだよな」という話をしていた。
どちらも【苦しみから解放されたい、残された人に迷惑かけたくない】という思いを持っているが、一方は「周りの人を不快にするだけだし、そのうちお迎えは来る。」と諦めにも似た達観をしてるが、もう一方ではどうにいもならないことを知りつつ、つい「死にたい」が口に出てしまう人生も終わりに近いことを知りつつ、それでも生死について悩み続けるお年寄りの気持ちは、私自信がその年齢にならないと理解できないだろう。ただ若い頃は戦中戦後を生き抜き、老後は身体の痛みに耐えながらも天寿を全うしようとする姿はそれだけで尊敬に値する。